遷延性意識障害(植物状態)について

事故で頭部に強い衝撃を受けるなどした場合、深刻なケースではダメージが脳に及び、生きるために必要なあらゆる機能を失ってしまうこともあります。

その中でも重篤な状態を「遷延性意識障害」といい、寝たきりで完全介護なしでは生きていくことが困難になります。

被害者本人が正常な判断や行動がとれなくなることから、家族が代わりに事故対応を行う必要性も生じ、その負担は筆舌に尽くしがたいものです。

ここでは、遷延性意識障害となった本人に代わり家族がとるべき行動について解説します。

遷延性意識障害(植物状態)と判断される6つの特徴と後遺障害等級

遷延性意識障害になると、ほぼ昏睡状態になるため寝たきりの生活を余儀なくされ、生きるために必要な自発的行為や体内機能のコントロールができなくなります。

そのため、一般的には植物状態と呼ばれています。

遷延性意識障害と判断する上では、3ヶ月以上に渡り次の6つの特徴が続いていることが、日本脳神経外科学会による定義となっています。

  • 自発的に移動できない
  • 自発的に食事が摂れない
  • 排泄コントロールができず失禁がある
  • 発声できるが意味のある発語ができない
  • 意思疎通がほぼ不可能
  • 目で認識することができない

いずれも生命維持のために不可欠な機能であるにも関わらず自己コントロールが不能な状態として、最も深刻な後遺障害とされています。

従って後遺障害等級は常時介護を要する1級1号に該当する可能性があり、労働能力喪失率も100%として認定され、自賠責保険の上限である4,000万円が支払われます。

本人に代わる成年後見人の選定が必要となる

遷延性意識障害にある被害者は、自らの意思で加害者に損害賠償を求めることができないため、主にその家族が成年後見人となって、損害賠償手続きや保険会社との交渉、また生活上必要なあらゆる契約事を本人に代わり行うことになります。

成年後見人の申し立ては、被害者本人の住所を管轄する家庭裁判所に対して行い、裁判所の調査や面談等を経て選任されます。

遷延性意識障害における損害賠償請求の争点

遷延性意識障害では、介護に関わる様々な費用や逸失利益、慰謝料等について損害賠償請求することができますが、しばしば争点となるのが、介護費用や逸失利益を計算する上で不可欠な余命の判断になります。

保険会社としては賠償金額を少しでも抑えるために、遷延性意識障害となった人の余命は平均余命よりも短いとし、低い金額を提示してくることがあるのです。

植物状態であることが短命であるとは必ずしも言えず、また賠償金によって十分な介護を行うことが被害者救済に不可欠であることを考えれば、保険会社の主張をそのまま受け入れることはできません。

保険会社の言う通りに余命を短く計算した場合、介護に使える金額も大幅に下がるため、被害者救済を満足に実現できず、十分な賠償を受けられないことになります。

従って弁護士に依頼して交渉あるいは訴訟によって、保険会社による対応の不適切さと本来あるべき救済の形について、丁寧な立証をもって相手方あるいは裁判所を納得させることが非常に重要です。

ぜひ、交通事故に強い弁護士を選び依頼するようにしましょう。

遷延性意識障害などの重大事故は当事務所まですぐにご相談を

交通事故による損害は金銭をもって賠償するのが基本ですが、その責任を持つ相手方保険会社が不当に低い賠償額を提示したり、被害者の立場に立たない主張を行ったりする等、被害者側が更なる困難を抱えてしまうようなケースが多々見られます。

このような事態を避けるためにも、重大事故ではすぐに弁護士に相談し専門的対応を任せることが最善の策になってくると言えます。

当事務所でも数々の交通事故を取り扱ってきており、弁護士の介入によって賠償金額が大幅に増額される可能性があることもわかっていますから、丁寧に証拠を集め、できる限り被害者に有利な結果を獲得できるよう力を尽くしています。

もとより被害者本人が遷延性意識障害となった場合では、家族の人生まで変えてしまうほどの影響が生じますし、保険会社対応や専門的手続きに割く労力や精神的負担は、被害者家族をさらに追い詰める要素となります。

どこにも吐き出せない不安や不満は溜まる一方で、精神衛生上も決して良い状態とは言えません。そのような時だからこそ、当事務所では被害者側の事情を加害者に丁寧に説明し理解を求めるよう尽力しています。

また、負担となる交渉や手続きを任せて頂く等、全力でサポートさせていただきますので、ぜひお早めにご相談ください。

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