高齢者や子どもの死亡事故とその慰謝料

まだ未来のある子供や、長く家族を見守ってきてくれた高齢者が死亡事故に遭った場合、余命分について問題となることがあります。

子供は長い人生を絶たれてしまうことになるから慰謝料は高額になるのか、高齢者は余命が短いとして減額されるのか、遺族の心配は尽きません。

ここでは、子供や高齢者の死亡慰謝料と余命の関係性や、賠償金額の算出方法について解説します。

死亡慰謝料は年齢よりも家庭内での役割に応じて決められている

例えば死亡したのが10歳の子供と70歳の高齢者とでは、想定される余命に大きな開きがあり慰謝料額にも影響するように思えます。

しかし、裁判所による基準からいけば、死亡慰謝料は年齢により区分されているのではなく、むしろ生前の死亡者が家庭内でどのような役割を担っていたかに左右されるということがわかります。

家庭内の役割による慰謝料の違いを、自賠責基準と裁判所基準で比較した場合、以下のようになります。

  • 自賠責基準(※)での死亡慰謝料は、役割に関わらず一律で400万円
  • 死亡したのが一家の支柱、母や配偶者の場合、裁判所基準では2,800~3,600万円程度
  • 死亡したのが子供の場合、裁判所基準では1,800~2,600万円程度
  • 死亡したのが高齢者の場合、裁判所基準では1,800~2,400万円程度

自賠責基準での死亡慰謝料は一律で400万円が支払われますが、裁判所基準では生前の死亡者が家庭内でどのような役割を担っていたかにより、相当とされる額が決定される傾向にあります。

※自賠責保険の支払基準が改正され、令和2年4月1日以降に発生した死亡事故については、新基準が適用されます。令和2年4月1日以前に発生した死亡事故については、死亡した本人の慰謝料は350万円です。

家庭内における役割とは、生計維持における貢献度と言い換えても良く、一家の支柱や母又は配偶者が高額であるのに対して子供や高齢者の金額が低いのは、家計及び日常生活に対する経済的かつ実働的な役割を果たしているかによります。

高齢者と子供の逸失利益の考え方と計算式

死亡により失った将来得られるはずの経済的利益を逸失利益と呼び、下記の計算式で金額を算定します。

年間基礎収入×(1-生活費控除率)×稼働可能期間に対するライプニッツ係数=逸失利益

子供の逸失利益の考え方

一般的に子供には経済力がないため、国土交通省による賃金センサスの男女別全年齢平均賃金額に12を掛けた数値を代入します。

生活費控除率は男子であれば50%、女子は30%として考えます。稼動可能期間は18歳をスタート時点とし67歳を終期として労働能力喪失年数を算出します。

ライプニッツ係数は、喪失年数に応じた数値があり、これを利用します。

従って、18歳の男子高校生が死亡した場合、賃金センサスにより基礎収入を187,400円×12=2,248,800円とし、生活費控除率を50%、稼働可能期間49年間に対するライプニッツ係数18.1687を代入して計算すると、逸失利益は20,428,886円となります。

高齢者の逸失利益の考え方

高齢者も同じ計算式を用いて逸失利益を算出します。年金生活者はその収入のほとんどを生活費とすることが多いため、生活費控除率は50~70%として計算します。

また稼動可能期間を超えた年齢の場合、厚生労働省が公開している簡易生命表に掲載されている平均余命の2分の1を労働能力喪失とします。

従って、年金年額120万円を受け取っている75歳男性が死亡した場合、基礎収入が1,200,000円、生活費控除率50%、喪失年数11年の2分の1に対するライプニッツ係数4.3295を乗じると、逸失利益は2,597,700円となります。

死亡事故に遭ったら弁護士に依頼すべき理由

死亡事故は、被害者本人から人生を奪い、遺族に消えない悲しみを与えることになる重大な出来事です。遺された家族には精神的・経済的な負担が大きくのしかかり、その辛さは想像を絶するものだと言えます。

亡くなった被害者本人を取り戻すことはできないものの、せめて加害者から十分な賠償を受けることが重要であり、遺された家族の辛さをいかに賠償金額に反映させるかが弁護士の仕事であると当事務所は考えています。

弁護士が入れば賠償金の大きな増額や近親者慰謝料の加算が期待できます。

保険会社が近親者慰謝料を認めたがらないケースもありますが、弁護士という専門家が適切な交渉を行うことによって、200万円~400万円の慰謝料獲得に繋がるのです。

特に、加害者側には保険会社がついていますから、被害者側としても弁護士を立て、相手方の一方的な言い分を通さず正当な主張を行うことが非常に大切です。

保険会社は交渉のプロが担当者となりますから、被害者側としてもプロによる対抗が必要なのです。大切な家族を亡くした壮絶な悲しみとショックの中で、専門的かつ煩雑な手続きや交渉に臨むことは大変な辛さを伴います。

少しでもご遺族の労力や精神的負担を軽減できるよう、当事務所では丁寧にサポートを行っていますので、ぜひお早めにご相談頂けることをお待ちしています。

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