交通事故での健康保険に関する知識

事故の被害者となった場合、治療費は加害者側の負担となりますが、示談成立までの間は一時的に被害者の持ち出しが生じることもあり、その時に使えるのが健康保険となります。

病院によっては、事故で負った怪我の治療に健康保険は使えないと主張する場合もありますが、そのようなことはなく、問題なく利用することができます。

ここでは、事故による怪我治療でも使える健康保険の特徴と利用の際のポイントについて解説します。

自分の健康保険を使うか加害者側の保険を使うかは被害者が決めることができる

病院で健康保険を使いたい旨を申し出た際、交通事故による怪我治療に健康保険は使えないと言われることがあります。これは誤りで、厚労省からも公式見解がある通り、事故でも通常通り健康保険を利用できることをきちんと伝えることが大事です。

事故の場合、加害者側の保険を使って自由診療での治療を行うのが一般的です。

ただし自分の過失割合が大きい場合は、過失相殺により自己負担額が大きく増えてしまうため、健康保険を利用して治療を受けた方が治療費を抑えることができます。

自由診療にしてしまうと治療費が高額となり、後から大きな負担を強いられることになるためです。

仮に、加害者と被害者の過失割合が6:4で治療費が総額100万円かかった場合を想定してみます。健康保険を利用せず自由診療とした場合、加害者に請求できる金額は100万円×0.6=60万円となり、被害者は40万円を自己負担しなければいけません。

一方、健康保険を利用した場合は、治療費は3割負担で33万円ですから、加害者に請求できる金額は33万円×0.6=19.8万円となり、被害者の自己負担額は13.2万円で済むことになります。

加害者の過失割合が100%かそれに近い場合、心配することなく自由診療での治療を受けることができますが、自分の過失が大きい場合は健康保険を利用して治療費を抑える工夫がひつようになってきます。

事故による怪我治療で健康保険を利用するための手続き

まずは病院に対し、健康保険を使って治療を受けたい旨を明確に申し出ます。

同時に、社会保険や国民健康保険といった健康保険側にも所定の届出を行います。

病院の中には健康保険診療に積極的ではないところもありますが、厚労省の正式見解もあることから、保険を使いたいという意思を明確に伝えることが大切です。

一方、社会保険や国民健康保険、労災保険等、加入している健康保険に対しては、「第三者行為による傷病届」を始めとする必要書類を揃えて提出します。

これにより保険者は、治療にかかった費用を第三者である加害者に対して請求できるようになります。

健康保険を使うことによる自賠責保険の最大活用

加害者側が自賠責保険にしか加入していなかった場合、被害者としては健康保険を使って治療した方がメリットは大きくなります。自賠責保険から支払われる傷害分の補償は上限が120万円であり、治療費や慰謝料等は全てこの金額内で賄われます。

従って、被害者が健康保険を使い治療費分を抑えることで、残った枠を慰謝料等に充てることができる可能性が出てくるのです。

例えば、治療にかかった全日数が28日間で、そのうち実通院日数が12日間だった場合、治療にかかった全日数か入院+実通院日数の2倍のいずれか少ない数値を使って、自賠責保険の入通院慰謝料を計算します。

従ってこの場合では、28日間か12日×2=24日間のうち少ない方である24日間が採用され、これに日額4200円をかけた100,800円が入通院慰謝料ということになります。上限は120万円ですから、残る1,099,200円は他の補償分を受け取るための枠として活用することができます。

治療費打ち切りの通告を受けたら速やかに健康保険に切り替える

治療を継続し、本人としてはまだ痛みや違和感が残っているにも関わらず、保険会社から治療費負担の打ち切りを通告されることがあります。弁護士を介入させる等して交渉を行うにしても、この時点では一旦健康保険に切り替えて継続治療を受けることが大切です。

治療費負担について相手方保険会社と合意ができるまでの間は、被害者側で治療費を負担しなければいけませんが、健康保険を利用することにより、立て替え分として持ちだす金額を抑えることができます。

打ち切り通告がなされた後の治療費は、その必要性について裁判で争われることになりますが、万が一必要性が認められなかった場合でも、自己負担すべき金額は3割負担であるため、リスクを最小限に留めることが可能となります。

健康保険を使うか迷いが生じたら当事務所までご相談を

過失割合の状態によっては、積極的に健康保険を使って治療を受けることが大切です。

後に保険会社との争いが起こることも見据え、交渉や訴訟に備えるためにも、早い段階でぜひ弁護士までご相談ください。

治療費の問題だけではなく、後の賠償金請求に繋がる後遺障害申請も見据えた長期的なアドバイスを行うことができるので、いかに早く相談にお越しいただくかは非常に大切な点となってきます。

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